久しぶりの更新ですが、9月後半から長期で海外出張に出ておりました。
帰国したら投票日というタイミングでしたので、選挙のお手伝いなどは残念ながらできませんでした。国民民主党は28議席獲得とのことで大躍進でした。
ところで今回の出張では久しぶりに英国を訪問しました。今回はあまりの物価の高さに本当に頭がクラクラしました。空港で売っていたキットカットの小袋が1つなんと18ポンド!(3,500円也)日本のドラッグストアでは時々セールで1袋298円ということもありますよね。(日本の定価はたぶん600円くらい?)もう開いた口がふさがりません。日本円が弱すぎるのか、英国の物価が異常なのか。。。
が、欧州にはその脅威の英国物価を超える国がたくさんあります。それは北欧諸国やスイスです。私が英国物価に驚いている頃、スイスのジュネーブでは国連による女性差別撤廃条約にかかわる日本審査がありました。私が事務局長をしている国際婦人年連絡会に所属する団体からも、大勢の方が審査の傍聴のためジュネーブを訪問しておりました。(総勢80名)ちなみに傍聴のための渡航費や滞在費は参加する方が自腹で負担しています。皆さんお金持ちというわけではなく、普通のおばさん、おばあさんです。ジュネーブに1週間も滞在すると、渡航費も含め100万円くらいではと思います。内閣府(男女局)のお役人さん達はこうした国連関係のイベントに際し、「若い方にたくさん参加してもらってください」と本当に気軽におっしゃるのですが、若い人たちは自腹でジュネーブなんか今時行けませんよ。まあ、自分たちは税金使ってビジネスクラスで、ファイブスターホテルが当たり前なので、滞在費が今時いくらかなんてたぶん考えないのでしょうけれど。参加された皆様の熱意には本当に頭が下がります。
さて本題に入ります。一部のメディアでも部分的に取り上げられましたが、女性差別撤廃条約にかかわる国連の対日本ヒアリングは8年ぶりの開催でした。女性差別撤廃条約は1985年に日本が批准した条約です。国連はこの条約を実行可能にするために、批准した国々に様々な法整備を要求します。その1つに選択議定書があります。選択議定書の話は以前のブログでも少し書きました。
選択議定書の批准については、かれこれ25年以上、日本政府はのらりくらりと返事を先延ばしにしています。選択議定書では「個人が国連女性差別撤廃委員会(CEDAW)に人権救済を申し立てできる制度=個人通報制度」を整備することを求めていますが、日本は批准に及び腰です。ちなみに日本は、「子どもの権利条約」も批准していますが、この権利条約に付随する3つの選択議定書のうち、やはり「個人通報制度」については批准していません。
現在、日本の地方議会では、女性差別撤廃条約選択議定書の批准を政府に求める「意見書」が次々と採択されています。2024年10月現在、13都道府県、8政令指定都市を含む348自治体で採択されており、日本政府を外堀から埋めるべく活動しております。
今回のジュネーブでの審査では、選択議定書の他にメディアでも取り上げられた選択的夫婦別姓の話や、皇室典範の改正の話を含む、100以上の項目についてヒアリングがありました。
Concluding observations in the ninth periodic report of Japan
中でも取り組みの状況を 2 年以内に報告するよう日本政府に求められたのは以下4項目です。
- 選択的夫婦別姓
- 女性が国会議員に立候補する際の供託金を一時的に引き下げる
- 緊急避妊薬へのアクセスと、16 歳、17 歳の少女が避妊薬にアクセスする際の親の同意が必要とされる要件を撤廃する
- 女性が中絶を求める際に配偶者の同意が必要とされる要件を撤廃するため、法律を改正すること
1.に関してはこれまでもブログで個人的な見解と解説をしていますので、そちらを参照ください。
2.に関しては、日本の女性の国会議員が少ないのは供託金が高いからだという意見が出され、それを国連側が問題であると感じたようです。供託金に関しては女性だけでなく、実は日本の場合男性にとっても高額です。日本の供託金は世界で一番高いのです。先進国では供託金自体が違憲とされ、廃止されたり減額されたりした国が多いです。日本に次いで供託金が高いのは韓国ですが、150万円とのこと。日本では小選挙区で300万円、比例代表で600万円です。通貨安で、なんでも激安の日本にありながら、供託金だけは高いのが不思議ですね。
3.および4.に関しては、日本でも経口中絶薬が昨年初め承認されましたが、海外では数千円の経口中絶薬が、中絶手術とほぼ同じ設定であることと、入院が必要なこと、配偶者の同意が必要ということで実はほとんど普及していません。配偶者の同意に関しては、未婚者は相手の同意が必要です。これがレイプなどの場合でも同様で、同意を得る作業が遅れ、安全な中絶のタイミングを逃してしまうこともあります。緊急避妊薬や中絶薬の親の同意については正直私もよく知りませんでした。
興味のあるかたは、審査の様子が国連TVで視聴できますので、覗いてみてください。
国連TV 女性差別撤廃条約国連審査 Consideration Japanを参照ください。
書き出すときりがないのですが、本当にいろいろあります。ただゆっくりとした歩みではありますが、少しずつ着実に世の中は変わっています。