米国滞在記

一つ前のブログでも書きましたが、3月10日から一週間ほど米国を訪問しました。米国訪問で感じたことを少し書きたいと思います。

1.ニューヨーク滞在

ニューヨーク滞在の目的は国連本部で開催されていたCSW69というイベントに出席するためでした。CSWとはCommission on the Status of Womenの略称で、日本では国連女性の地位委員会と訳されています。毎年2月、3月くらいにニューヨークで開催されています。

1995年の第4回世界女性会議で採択された「北京宣言及び行動綱領」の中で、女性の地位向上とその目的を達成するための様々な援助活動・政策(エンパワーメント)を実施するために取り組むべき12の重大問題領域が明記され、優先順位が示されました。CSWでは毎年、この12の各重大問題領域の実施状況を評価し、未達の事項に関しては達成に向けたアクション(勧告等)をします。世界各国から女性のエンパワーメントにかかわる各国のNGOの代表や、官僚や議員や大臣なども参加していました。日本からは外務省の職員の方々と、外務大臣政務官の英利アルフィヤさんも参加されていたようです。

私は今回初めての参加でしたが、印象的だったのはアフリカや南米の女性リーダー達です。正直日本は迫力で圧倒的に負けているなあと感じました。彼女たちの女性のエンパワーメントのための強い意志と力強いスピーチはとても印象深いものでした。

中でもタンザニアの若き起業家であり、政治リーダーでもあるLilian Makoi Rabiさん(
https://www.linkedin.com/in/lilian-makoi-rabi-b7ab0447/)が共有した話は非常に興味深いものでした。彼女は元々ビューティーコンテストの優勝者だったそうで、その後起業家に転じ成功しています。ただ、美人で若いというだけで、様々なハラスメントの対象となり、手がける事業も結果で評価されないなど、女性故の難しさを話してくださいました。美人に生まれるメリットも沢山あると思いますが、ビジネスや政治など表に立たなければならない状況において、謂れのない誹謗中傷の的になるといったデメリットも確かにあるのかもしれません。(私は幸か不幸か経験はないのですが)「でも私は絶対負けない!これからもアフリカの同胞のため、境遇を同じくする女性のため、とことん戦い続ける!」と、頼もしい限りでした。

ちなみに日本もCSWにてサイドイベントを主催しまして、下記リンクから視聴することができます。

CSW69 日本サイドイベント

それにしてもニューヨークの物価は高い。地下鉄の初乗りが、後でクレジットカードの請求を見たところ446円でした。あの小汚い地下鉄にほんの数分乗るだけで446円?それに今、ニューヨークの地下鉄では、ホームの端に立っている人を、電車の入線直前に突き落としてけがをさせたり、ひどいときには重症を負わせたりするチャレンジ?なるものが流行しているとかで、電車を待つ乗客は皆壁側に張り付いて電車を待っていました。物価が高いのも恐ろしいですが、治安も良くないです。ジュリアーノ市長の時に治安がだいぶ良くなった印象があったのですが、また悪化しているのかもしれません。

今回燃料高の影響を受けて航空券も結構なお値段でしたし(キャンセル&変更不可のエコノミーのチケットで30万円)、たった3泊のニューヨーク滞在でホテル代が15万円(冷蔵庫もポットもないような安宿です)、ホテルの近くで食べたクリームチーズとスモークサーモンのベーグルが1個2000円だったことにただただ驚きでした。

現在トランプ大統領が、日本から輸入される工業製品の関税率を引き上げ25%にするとしています。ですがこれだけ円安ですと、影響はないと個人的に考えます。そのくらい酷い円安&米国の物価高だと思います。

2.ボストン滞在記

ボストンは1998年から2000年まで住んでいました。ですので勝手知ったるという感じです。今回はホテルではなく、友人宅に泊めてもらうことにしました。

泊めてくれた友人はユダヤ教徒のため、Kosherというユダヤ教徒向けに認定された食品を扱う店で食品を購入します。滞在翌日、友人と一緒に買い物に行き、宿提供のお礼にと私が支払いをしました。後日クレジットカードの請求を見てまたお驚きでした。その日はその夜と翌日食べる総菜など数点購入したのみでしたが、請求額はなんと17,000円。私は食品で一度にこんな金額まで買い物したことは一度もありません。米国物価恐ろしや。

翌日は土曜日で宿を提供してくれた友人が安息日で出かけられないため、共通の友人が車で迎えに来てくれ、朝は一緒にバードウオッチングをしました。バードウオッチングはボストンの市民団体が無料で参加者を募って実施しているもので、本当に誰でも参加できます。参加者の皆さん自然を愛する良い方たちばかりで、古き良きアメリカはまだあるのだとなんだか嬉しい気持ちになりました。

この日行動を共にした友人の会社の同僚が、何グループかあった別のバードウオッチングのグループを先導しており、鳥の撮影の仕方を参加者に教えていました。アメリカはなんでも金、金、金なのかと思いきや、無償で懇切丁寧に自分のカメラテクニックを教えるような人も存在するのです。それがアメリカのなかなか面白いところです。ちなみに友人の会社の同僚がやっているInstagramは@naturemanmikeで検索できます。野鳥の好きな方、チェックしてみてください。かわいい写真が一杯です。

その後ボストンの再開発地区であるSeaport地区をふらふらしたり、市内をドライブしたりしました。最後に製薬企業やバイオ企業がこぞって研究所を建てているというケンブリッジ地区に探索に行きました。ウワサ通りものすごい数の製薬企業の建物や創薬ベンチャーのオフィスが入るインキュベーション施設がありました。

注:写真上はSeaportの再開発地区にある新しいビル群。下はアイスクリーム博物館。Seaportは若い人で溢れていました。なんだかボストンのイメージではない感じです。

友人宅に戻る途中、ケンブリッジ市の図書館の前を偶然通過しましたが、新しく、前面ガラス張りのモダンな図書館の建物が夕方の闇をバックに煌々と輝いておりました。友人も「初めて見た!!」と感動していました。いやあ、ケンブリッジ市、相当儲かっていると思います。企業の誘致で大成功ですね。以前はバイオ企業が集まるところというと、サンフランシスコ周辺やサンディエゴなど西海岸が中心でした。でも今はケンブリッジがすっかり主役になっています。日本にも多少バイオクラスターと呼ばれる地区はありますが、規模として全く比べ物になりません。こういう地域起こしモデルを日本も参考にできるといいですね。

ですが今は、トランプ大統領が医薬品の承認にかかわる機関(FDA)の職員を大量にレイオフするとかしないとか、ちょっと微妙な感じです。新しく指名されたFDA長官は確か外科医で、医薬研究開発なんて全く知らない人。医薬品業界も先行き不透明な状態です。審査が滞って上市できなくなれば、創薬ベンチャーはただの金食いマシーンです。この先どうなるのでしょうか。

出費はかさみましたが、やはり現地参加で感じる臨場感や実際に訪問して見聞きして自分なりに感じるのと、動画等で見たりするのは全く違います。願わくはこれ以上燃料費が上がらないことですね。

また今回の米国滞在で、最近のアメリカは飲食店等でテイクアウトメニューをオーダーするときでさえ、チップを払うようになったと知りました。クレジットカードをスキャンする際、チップの目安が購入金額の15%はいくら、20%はいくらと表示されるのです。そしてそこから選択するようになっている。友人の一人は「私はそういうチップは絶対払わない、ゼロ!」と、言っていましたが、本当になんだかもう・・・。それと比較すると日本の飲食店はどう考えても価格設定が安すぎですね。その分人件費が安く抑えられている。経営努力は素晴らしいかもしれませんが、あまり無理しないで欲しいと個人的に思いました。