最近、「AIで仕事がなくなる」「エンジニアが大量レイオフ」などのニュースをよく目にします。でも実際の現場では何が起きているのか。私たちの働き方はどう変わっていくのか。
ここでは、私自身の経験を交えながら、AI時代の“リアル”を少し辛口に語ってみたいと思います。
現場で起きていること:AIはすでに仕事を置き換え始めている
1.議事録は自動で届く時代へ
私は長年海外企業で働き、ここ数年はインド企業でリモート勤務をしています。
オンライン会議では、議事録作成をオンにしておくだけで、会議終了と同時にAIが議事録を生成。しかも英語の会議でも、日本語設定のPCなら自動で日本語に翻訳されて届きます。
かつては誰かが必死にメモを取り、議事録を作り、複数人で確認するのが当たり前でした。今はその工程が丸ごと不要。むしろ、メモを取らなくてよくなったので、ぼんやりしていると内容を理解しないまま会議が終わってしまうほどです。やる気のある人は、議事録をAIに任せつつ、会議中にAIで関連情報を深掘りするなど、知識の吸収スピードが格段に上がっています。
「国会の速記者が不要になる」というのも、現場にいると納得です。
2.翻訳精度の進化が“仕事の前提”を変えた
コロナ禍に、私のインド占星術の先生が、英語の専門書を日本語に翻訳するプロジェクトを始め、私も関わりました。当時のAI翻訳は本当にひどく、専門用語は意味をなさず、日本語も不自然でした。
それがわずか5年で、専門分野でも自然な日本語に訳されるようになり、時には「私が書くより上手い」と感じるほど。医薬分野でも同じで、一次翻訳の仕事は本当に厳しくなっています。
さらに今はメールも自動翻訳されるため、言語の壁はほぼ消えつつあります。語学力はもちろん強みですが、これからは言語 × 専門性の掛け合わせが価値を持つ時代です。
3.契約書レビューは数分で完了
かつて「経験者の仕事」とされていた契約書レビューも、AIにかければ数分で問題点を指摘してくれます。
正直、契約書は慣れればそこまで難しくありません。しかし、大企業ほど「難しい仕事をしているように見せる」ために、わざと時間をかける法務担当者が多いと感じます。
AIが普及すれば、こうした“見せかけの専門性”は通用しなくなるでしょう。重要なのは、AIが指摘した内容を理解し、ビジネスの文脈で判断し、的確なアドバイスできるかどうか。ただ読むだけの法務は確実に仕事が減っていきます。
4.医薬品製造の自動化が想像以上に進んでいた
最近勤務しているインド企業で、AIの講習会がありました。その中で衝撃を受けたのは、AIを用いた医薬品製造プロセスの最適化のソフトウエアについてでした。現在勤務している企業の製造現場は自動化が高度に進んでおり、製造現場に持ち込む前に、製造プロセスを完璧に作りこむというわけです。
医薬品製造は料理に似ています。反応釜と呼ばれる容器に原材料を入れ、撹拌し、温度を管理して目的の中間体や原薬を合成します。しかし求められるものは料理とは真逆です。料理なら同じ材料、同じ調理器具を使ってもシェフによって味が変わります。むしろクオリティの高い料理を生み出すのはシェフの腕の見せ所ですが、医薬品はそれが許されません。
求められるのは、誰が作っても、どの工場でも、同じ品質です。しかし日本の現場には、優秀なエンジニアの“匙加減”が残っていました。一方、私が働くインド企業では、この匙加減が完全に排除されるような仕組みを構築しています。
- 製造プロセスをパラメーターとしてすべてデジタル化
- AIが何百通りも反応をシミュレーション
- 現場はボタン一つで製造開始
- 人間は監督と異常検知のみ
現場のエンジニアは、そもそも勝手に触れないようにシステムでロックされています。「製造ってここまで自動化されるのか・・・」と本気で驚きました。
世界標準は今、“人が介入しないこと”が品質を守るという方向に完全にシフトしています。
消えていく仕事:ルーチン化できるものは真っ先にAIへ
AIが得意なのは「パターン化された仕事」。具体的には次のような業務が縮小していきます。
- 定型事務・雑務(議事録、定型メール、スケジュール調整など)
- 一次翻訳・単純校正
- 単純レビュー業務(契約書初期チェック、データ整合性確認など)
- 文系ジェネラリストのルーチン業務
特に「新卒一括採用で守られてきた仕事」は、今後評価基準が変わると一気に厳しくなります。新卒採用は実際AIの普及によって枠が小さくなりつつあり、最近は中途採用にシフトする企業が増えています。
伸びる仕事:専門性 × AIリテラシーが最強
では、これから伸びる仕事は何か。
1.AIを使いこなす実務者
データサイエンティストだけでなく、自分の専門領域にAIを組み込める人が強い。
医薬製造のプロセス設計者がAIシミュレーションを使えたら最強です。
2.手に職の技能職
電気工事、溶接、配管など、現場判断が必要な仕事は自動化が難しい。
アメリカではブルーカラー回帰が起きていますが、日本も同じ流れになるでしょう。
3.AIの監督・検証
AIの出力を評価し、誤りを見抜く仕事。
最終判断は人間が担います。
4.対人スキル・創造性が必要な仕事
カウンセリング、交渉、戦略立案、クリエイティブなど。
AIは補助できますが、価値の源泉は人間にあります。
どう学べばいいか:今日からできること
- 毎週あるいは毎日1時間、AIツールを触る
- 自分の専門分野で「AIで何ができるか」を試す
- 技能職なら資格や実務経験を積む
要するに、専門性を持ち、AIを道具として使える人が強いです。
私は毎日AI英語学習アプリで英会話を練習していますが、最近のアプリは本当にすごいです!若い人なら1〜2年でペラペラになると思います。英会話教室はもう不要でしょう。
私は来年60歳になりますが、この年齢でもAIを味方につければ動画編集でも何でもできます。必要なのは「新しいコンテンツを生み出す企画力」とやる気です。仕事が丁寧でも“言われたことしかできない人”は市場価値を失う時代です。
個人が今すぐやるべきこと
- 自分の仕事を「ルーチン/判断/対人/創造」に分ける
- ルーチン部分をAIで自動化してみる
- 専門性+AIツールの二刀流を目指す
まとめ:AIは仕事を奪うのではなく、仕事を再定義する
- AIは仕事を奪うのではなく、仕事の形を変える
- ルーチンは自動化され、専門性と対人力が価値を持つ
- 個人は 専門性 × AIリテラシー を整えるべき
AIを恐れるより、どう使いこなすか。これが、これからの働き方の核心だと思います。

