介護職の待遇について思うこと

私は小さいころから介護の仕事にはとてもなじみがあります。というのも、身内が介護の仕事を長年しているからです。

介護業界でよくある話はまず、給与水準がとても低いこと。地方ではほとんど最低賃金ということ。寿退社とは介護業界では男性がするもの。あまりにも給与が低いので、男性が家族を持とうとするとき、介護の仕事を続けていては家族が養えないからと、介護職を辞める。

介護の仕事は介護の仕事が嫌いな人には到底できないと私は思う。だから長年やっている人は、介護の仕事が好きな人、やりがいを感じている人も多いと思うけれど、給与が低すぎるからと辞める人も実際多い。

介護業界では、出勤一日目でやめるというのは珍しいことではなく、研修の最初の1-2時間でギブアップする人もいる。介護の仕事はお金のためだけでは、とてもできない仕事だと思う。同じ世話でも子供の世話は、大変だけれど面白い。だんだん知恵がついて、昨日までできなかったことが、あっという間にできるようになり、生意気な口を利くようになる。人間の進化の過程を間近に見ることができる。

一方で高齢者の介護は後ろ向きで、私はたぶん、気が滅入ると思う。昨日まで自分のことをわかってくれていた人も、今日からは他人になり、ついこの間まで一人で普通にトイレにも行けていた人が、ずっと寝たきりになる。いつか自分も通る道かもしれないけれど、なんだか直視したくない気がする。だからそういう仕事を続けられる人は、きっと強い人だと私は思っています。

日本は介護人材の不足を埋めようと、海外から積極的に人材を呼び寄せようとしています。初めはEPA(経済連携協定)に基づき、日本の介護施設で就労と研修をしながら、日本の介護福祉士の資格取得を目指す「EPA介護福祉士候補者」として迎え入れたものの、試験の合格率が低く、思ったほど数が伸びませんでした。そもそも介護職は昨日のブログでも述べたように世界的に需要があり、日本はすでに買い負けしています。そこで2017年から技能実習生に介護職を導入し、来日時の日本語能力の基準も下げ、一気に人数を増やしました。技能実習生に関しては、きちんとした処遇をする事業所もあるかもしれませんが、現代の奴隷制度と悪評高く、個人的には技能実習生制度自体に反対です。

それに技能実習生制度では、そもそも技能実習をしなくてはならず、その後の滞在期間も限定されており、日本に長く根を下ろしてくれるような人は望めません。また技能実習生が大量に介護現場に入ると、日本人の介護職の給与も当然影響を受けると思います。現在ですら、介護施設は募集をかけても日本人の応募者が全くいないと嘆いているようですが、応募が来るまでなぜ待遇を上げることを考えないのでしょうか?日本人が全く募集に応じないような施設に、技能実習生を送り込んで大丈夫なんでしょうか?介護職に限らず、長年、日本人の給与が上がらないのはこの辺に理由があると思っています。