日本ではいま、外国人住民の数が過去最高を更新し続けています。
深刻な労働力不足を背景に受け入れは加速していますが、制度整備は追いついているとは言えません。その結果、永住を望む外国人の姿が見えにくくなり、技能実習制度のような歪んだ仕組みが温存されているのが現状です。
この記事では、最新データをもとに「どんな外国人が日本に永住を希望しているのか」そして「日本はどのような移民制度を整えるべきなのか」について考えていきます。
データで見る日本の外国人の現状
まずは現状を数字で確認してみましょう。
出入国在留管理庁の資料によると、2025年6月時点で日本の外国人住民は約395万人。これは過去最高で、前年比約5%の増加です。国籍別では以下の5カ国が上位を占めています。
- 中国:約90万人
- ベトナム:約66万人
- 韓国:約41万人
- フィリピン:約31万人
- ネパール:約27万人
この5カ国だけで255万人に達し、日本の外国人の多くがアジア出身であることがわかります。特にネパールは前年比17%以上の増加で、新たな流入国として存在感が高まっています。
在留資格別では、
- 永住者:約92万人
- 技能実習生:約45万人
- 技術・人文知識・国際業務:約42万人
- 留学生:約40万人
日本は「移民国家ではない」と言い続けてきましたが、実態としてはすでに移民社会に近づいていると言えるでしょう。
永住を希望する外国人はどんな人たちか?
永住を望む外国人は一枚岩ではありません。大きく分けると次の4つの層が存在します。
1. 長期的に働きたい層
介護・製造・外食など、人手不足が深刻な分野で働く人たち。日本語力が高くなくても、特定技能から永住を目指すケースが増えています。
2. 高度人材
ITエンジニア、研究者、経営者など専門性の高い人材。日本語ができ、納税額も多く、地域社会に溶け込みやすい傾向があります。
3. 家族帯同で生活基盤を築く層
子どもが日本の学校に通い、日本語が母語になるケースも珍しくありません。本人の日本語力が高くなくても、家族のサポートで生活が成り立つため、永住を希望する人が多い層です。
4. 日本文化・治安・生活環境を評価する層
「安全」「教育」「清潔さ」「差別が比較的少ない」などを理由に、日本を生活拠点に選ぶ人たち。学生や観光客として訪れ、日本の良さに気づいて移住を希望するケースもあります。
共通しているのは、「日本社会に適応し、長期的に貢献したい」という意志があること。
最近では、中国の富裕層が子どもの教育目的で家族移住するケースが増えています。文京区は教育熱心な中国人が多く移住する地域として知られ、高田馬場には中国人向けの大学受験予備校が増加中です。東大など難関大学の合格者も増えています。
また、永住権審査では語学力が非常に重要ですが、中国語話者はそもそも漢字を使用するため、日本語の読み書きで有利です。そのため、高度人材や家族帯同の移住者に中国人が多くなるのは自然な流れと言えます。
私自身、インド企業で長く働いてきましたが、インド人にも日本移住を希望する人は多く、理由は治安の良さや、アニメをはじめとした日本文化や日本のハイテク技術へのあこがれが多いように思います。語学が得意な人が多く、日本語も「話すだけなら難しくない」という声をよく聞きますが、読み書きはやはり難しいようです。
日本が整えるべき移民制度とは?
ここからは私自身の考えも交えて整理します。
日本は「移民政策は取らない」と言い続けてきましたが、技能実習や特定技能を通じて、実質的な移民受け入れはすでに進んでいます。だからこそ必要なのは、透明で、公正で、持続可能な移民制度です。
ポイントは次の4つです。
明確な永住基準の設定
- 日本語能力(例:N2以上)
※技能実習生の基準はN3〜N4で、読み書きは困難なレベル - 日本の文化・歴史・法制度の理解
- 納税・就労実績
- 地域社会への参加
誰が見ても納得できる基準が必要です。
カナダ・オーストラリア型のポイント制
学歴、職歴、語学力、年齢、技能などを総合評価し、日本社会に適応できる人を選ぶ仕組み。透明性が高く、運用面でもメリットがあります。
家族統合のルール整備
家族帯同の条件を明確にし、子どもの教育支援も整えること。移民を受け入れる以上、移民の家族への言語・教育支援は不可欠です。映画「名無しの子」を見てのブログにあるような悲劇は、繰り返すべきではありません。
地域社会との共生政策
日本語教育の公的支援や自治体との連携が不可欠。言葉が通じないストレスは想像以上に大きく、ここを支える仕組みが絶対に必要です。
技能実習制度の問題点と、廃止すべき理由
技能実習制度は本来、途上国への技能移転を目的に始まりました。しかし実態は、安価な労働力の確保が中心になっていることは明らかです。
かつての「外国人研修制度」の名残から、「初年度は研修だから最低賃金以下でよい」と誤解している企業もあり、残業代未払いなどの違法行為も見られます。多くの実習生は単純作業に従事し、技能移転がほとんど行われていないケースも多いのです。
さらに深刻なのが、ブローカーによる搾取構造です。
- 来日前に高額な借金を負わせる
- 返済のために逃亡・違法就労に追い込まれる
- パスポート取り上げ
- 長時間労働
- 性暴力などの人権侵害
実習生が来日前に抱える借金は、受け入れ先の日本企業の知らないところで起きていることが多いのかもしれませんが、企業としてはやはり、クリーンな手続きを経て来日した実習生のみ受け入れる必要があるでしょう。
また日本での実習生の非人道的な扱いはSNS等で瞬く間に世界に拡散され、日本の評判を落とすリスクもあります。
最大の実習生送り出し国であるベトナムでは、特に都市部で賃金上昇が進み、技能実習と同程度の給与水準になりつつあり、日本に来るメリットが薄れつつあります。円安もあり、優秀な人材はより条件の良い国へ流れているのが現実です。
だからこそ私は、技能実習制度は廃止し、個別審査型の移民制度へ移行すべきと考えています。
少し脱線しますが、先ごろインドに日本の支援で建設中の新幹線の運転士を養成するため、JRがインド人運転士にを日本の新幹線を使って訓練する様子がニュースで流れていました。
【独占取材】日本の新幹線をインドへ!運転士訓練に密着 新幹線輸出を解説【小川知美の経済掘りおこし】
駅のプラットフォームに入船する速度の厳格な管理や、秒単位の運行時間管理など、新幹線の運転士はこんなにも大変なのかと驚きでした。教える側も教えられる側も、真剣そのものです。まさに「技能実習」です。ですがこうした本来の意味の技能実習を行っているケースは、人手不足の今、ますます少数派になりつつあるでしょう。
ですから技能実習とは言えない技能実習制度は廃止して、代わりに、特定技能(介護、建設、ITその他特定分野のスキル)+厳格な審査、ブローカー禁止、政府間協定による透明化が必要です。
結論
日本はすでに外国人と共に生きる社会になっています。しかし制度は追いつかず、技能実習制度のような歪んだ仕組みが残っています。
永住希望者の質を高めるには、明確な移民制度と厳格な審査が不可欠です。
日本語・文化・歴史を理解し、日本社会に溶け込める人を選ぶ。そして透明で公正な制度を整え、日本の労働市場の需要に合った人材に来てもらう。
これこそが、日本の未来にとって必要な方向性だと考えています。

