外国人との共生とその課題(後編)

今回も「外国人との共生」について、前回に続いて考えていきます。前編でもクルド人問題を取り上げましたが、後編では今まさに日本で注目されている課題、そして海外ではすでに社会問題化しているトピックを中心にお話しします。

① 外国人による不動産取得がもたらす影響


最近の参議院選挙でも話題になった「外国人による不動産取得」。この問題には大きく分けて2つの側面があります。

  • 都市部での不動産価格の高騰
  • 地方での水源地や森林など、資源に関わる土地の取得

円安の影響もあり、かつて日本が海外の不動産を買い漁って批判されたように、今は中国やロシアの富裕層が日本を含む世界各地で資産として不動産を取得しています。特に中国では土地の私有が認められていないため、日本の安定した治安と円安が魅力となり、資産移転が加速しています。

この流れは欧米諸国でも同様で、結果として都市部の不動産価格が急騰しています。一般市民が手を出せない価格帯になり、賃貸価格も上昇し、ホームレスの増加につながっているのです。東京も例外ではなく、家賃は上がる一方で、収入は追いつかず、生活必需品の値上げも重なり、都市生活はますます厳しくなっています。

もう一つの懸念は、安全保障に関わる土地の取得です。中国資本による水源地や自衛隊基地周辺の土地取得、対馬での韓国資本による買収などが報告されています。ニセコでは中国企業がホテル建設を始めたものの、資金難で放置されるケースもあり、地域の景観や経済に悪影響を与えています。

日本では外国人による土地取得に対する規制が非常に緩く、1994年、WTOの一部である、GATS(サービスの貿易に関する一般協定、General Agreement on Trade in Services)加盟時に留保条項を設けなかったため、永住権の有無に関係なく土地取得が可能となっています。現在は「土地利用規制法」で一部の重要施設周辺の土地利用を制限していますが、それ以外の取得状況は把握されていません。

国民民主党は「外国人土地取得規制法案」を提出しており、今後は国際ルールに抵触しない形での法整備が求められています。

② 観光客の急増が地域にもたらす課題

外国人観光客の増加は、日本だけでなく世界中の観光地で共通の課題となっています。観光による経済効果が期待される一方で、地域住民の生活環境が損なわれるケースも少なくありません。

交通渋滞が慢性化し、買い物や通院が困難になるほか、消防・救急車両の到達にも支障が出るなど、深刻な影響が出ています。さらに、私有地への無断侵入やポイ捨てなど、マナー違反によるトラブルも後を絶ちません。

私自身、仕事で京都を訪れることがありますが、観光シーズンにはタクシーがつかまらず、宿泊施設も満室。路線バスは常に満員で乗れず、ごみ箱の少なさから路上や民家の庭にごみが捨てられている光景も見かけます。

こうした状況には、自治体が主体となって観光客の行動を管理する仕組みづくりが必要です。宿泊税や観光税を導入し、その収益を清掃活動やインフラ整備に充てることで、地域住民の負担を軽減することができます。

観光客の行動傾向や地域の特性に応じた、柔軟で実効性のある対策が求められています。

③ 外国人労働者と日本人の雇用のバランス

介護や建設業など、人材不足が深刻な分野では、外国人技能実習生の受け入れが進んでいます。私の家族も長年介護職に携わってきましたが、報酬が仕事に見合っていないのが現実です。

平均年収は約380万円。専門職であるにもかかわらず、日本人の平均年収よりも低く、しかも女性が多く担ってきた分野であるため、給与水準が低く、男性の定着率も低い。結果として、介護現場は高齢の非正規女性が中心になっています。

若い世代が入ってこないのは当然で、低賃金で文句を言わず働く実習生が重宝される構造ができてしまっています。しかしこれは“麻薬”のようなもので、依存すればするほど日本人は介護職を敬遠し、事務職など楽で稼げると思われる仕事に流れていきます。

事務職は今後AI導入で競争が激化し、理想の仕事に就けない人が増えるでしょう。エッセンシャルワークで働くことを視野に入れなければ、結果として失業給付や生活保護に頼る人が増え、社会保障費が膨らみ、増税につながる可能性があります。

建設業でも同様で、外国人労働者の流入により給与水準が下がり、インフラの質が低下する懸念があります。これまで日本人の丁寧な仕事で築かれてきたインフラが、ノウハウの継承がされず、粗雑なものに変わってしまう可能性も否定できません。

だからこそ、企業の給与体系だけでなく、エッセンシャルワーカーの待遇改善が急務です。日本人にとっても魅力的な職業にすることで、外国人に頼らない構造を築くことが重要です。

④ 高度人材と永住権のあり方

日本ではまだ高度人材の大量受け入れは行っていませんが、米国ではIT分野で長年受け入れてきました。その結果、米国人の大量解雇が発生し、トランプ大統領はH1Bビザの手数料を大幅に引き上げ、事実上の発給制限を打ち出しました。

【解説】 トランプ政権、高度な技術者就労ビザの取得費用を10万ドルに引き上げ インドとカナダに異なる影響

この影響で、これまで年間25万人以上受け入れていたインド人技術者の受け入れ先が米国から日本に代わる可能性があります。実際、インドのモディ首相と石破総理の会談で、日本がインド人技術者を5年で50万人受け入れるという話も出ています。

一方、英国では永住権に期限を設け、富裕層のみ延長を認めるという案も出ています。これは社会保障を受ける外国人に出て行ってもらうという短絡的な考え方とも言えます。

富裕層が残れば経済が活性化するかというと、それも疑問です。むしろ都市部の不動産価格が上昇し、物価も上がり、一般市民が住めなくなるという現象が起きています。

特定の階層や業種に偏ったコミュニティは脆弱です。私が育った夕張市も炭鉱町でしたが、炭鉱がなくなった途端に人口減少が止まらなくなりました。だからこそ、雑多な人が集まる社会こそが、実は最も強いのです。

外国人が日本に来る理由はさまざまです。不動産や収入を目的とする人たちは、魅力がなくなれば、稼げなくなれば去っていきます。でも、「日本が好きだから住みたい」「文化や慣習を尊重して共に暮らしたい」と思ってくれる人たちこそが、共生社会の核になっていくのではないでしょうか。

受け入れるべきは「お金のある人」ではなく、どんな形でも「日本社会の一員として、共に働き、共に暮らし、共に支え合ってくれる人」。その姿勢こそが、持続可能な共生の土台になります。

一部の地域では、外国人によるごみの分別ルール違反や軽犯罪の報告もありますが、これは「日本に長く住みたい」「日本を大切に思っている」人たちには見られない傾向です。つまり、「外国人」と一括りにするのではなく、「どんな価値観を持ち、どんな姿勢で日本社会と関わろうとしているのか」が重要なのです。

多様性のある社会は、時に摩擦も生みますが、それ以上に強さとしなやかさを育みます。雑多な人々が集まり、互いに学び合い、支え合うことで、社会はより豊かに、より強くなっていくと私は考えています。