昨日、女性の有権者の皆さんと「フリーランスの働き方」についてZoomでお話する機会がありました。今は会社勤めをしている方がほとんどでしたが、結婚や子育てといったライフステージの変化を見据え、「もっと柔軟に働きたい」とフリーランスへの関心を高めている様子が印象的でした。
私自身、19年にわたってフリーランスとして働いてきました。今日はその経験をふまえ、女性にとってのフリーランスの魅力、そして制度の未整備から生まれる深刻な課題について整理してみたいと思います。
自由な働き方は「自己責任」も背負う
フリーランスの魅力は、なんといっても時間の自由です。通勤の必要もなく、仕事のスケジュールを自分で決められる。その柔軟性は、子育てとの両立を考える女性にとって大きなメリットです。
しかしその自由の裏側には、「すべて自分で管理しなければならない」という責任があります。どんなに努力しても成果が出なければ収入にはつながりません。会社員のような固定給や、産休・育休の保障があるわけでもなく、仕事の評価も結果次第です。
フリーランスには、好きで、得意で、継続できる仕事が必要です。ですが日本の教育では個人の得意分野を育む機会が少なく、「自分に何が向いているのか」がわからないまま独立する方もいます。そうしたケースでは、経済的にも精神的にも厳しい道になることが予想されます。
フリーランスと家族の関係性
家族の理解と支援も重要です。
私の知人に、会社を辞めて税理士資格を取得した男性がいます。学習期間中は看護師の奥様が家計を支え、「大丈夫」と言って一度も文句を言わなかったそうです。この支えがあってこそ、資格取得という長い道のりを完走できたのだと思います。
逆に女性がフリーランスの場合には、例えば在宅で仕事をしているのにもかかわらず、専業主婦と同じ扱いを配偶者からも、周りからも受け、仕事への理解がなかなか得られないケースがあるでしょう。
収入の浮き沈みで夫婦間に葛藤が生じることも多く、独身の場合はそもそも生活できないリスクも高まります。この部分は政策で手当てしきれない領域ですが、働き方の選択においては大事な要素です。
女性フリーランスが直面する制度の空白
そして何より深刻なのが、フリーランスという働き方が、現行の社会保障制度から取りこぼされていることです。
例えば、個人事業主には「産休」も「育休」もありません。会社員であれば支給される「出産手当金」や「育児休業給付金」も対象外です。妊娠・出産で一時的に仕事を休むことになっても、収入が途絶えるばかりか、制度的な支援も得られません。
また、保育所の入所申請では「フリーランスは自宅で仕事できる=子育ての支援が不要」と扱われ、優先順位が低くなるケースもあります。実際には仕事と育児を両立するための支援が必要なのに、制度の前提が会社員に偏っているため、女性フリーランスは後回しにされてしまうのです。
さらに、法人化して会社役員になっても、育児介護休業法の「労働者」には該当しないため、育休中の社会保険料免除や育児給付金は適用されません。産前産後の一時金などはありますが、長期的な休業への経済的支援は受けられず、「選んだ働き方の自由」が結果として「制度の隙間」を生んでいるのが現状です。
インボイス制度が追い打ちをかける
最近話題のインボイス制度も、女性フリーランスの背中をさらに押し下げています。これまで年間売上1,000万円以下なら消費税の納付が免除されていた事業者も、登録しなければ取引先から契約を打ち切られる可能性があります。実質的には「免税とは名ばかり」の負担がのしかかっているのです。
YouTube等、外国法人からの広告収入など一部では消費税還付の対象になる場合もありますが、そうした特殊な事例は多くのフリーランスには当てはまりません。制度が「柔軟な働き方」への理解なしに拡大すると、生活基盤を脅かす結果になりかねません。
会社員にはないメリットもあるけれど
もちろんフリーランスにはメリットも多くあります。会社の人間関係に煩わされず、成果が収入に直結し、自分の事業として成長させることもできます。法人化すれば社会的信用も高まり、銀行ローンや契約の場面でも有利になります。
ただし、こうした恩恵はすべて自己責任の上に成り立っています。雇用保険には入れず、小規模企業共済など自己管理型の制度を利用するしかありません。売上や事業設計次第で法人化のメリットも変わりますが、それに対応する教育や制度設計が追いついていないのが現実です。
多様な働き方を「支える制度」が必要
女性がフリーランスという選択を前向きにできる社会にするには、「制度の前提は会社員」という現状を見直すことが不可欠です。育児支援、保育制度、社会保障、税制、これらすべてが多様な働き方を視野に入れた再設計を必要としています。
制度の隙間を埋め、誰もが安心して自分のキャリアを築ける社会。とくに育児期の女性が働き方を選べるようにすることが、少子化や経済停滞から抜け出すための鍵になると、私は確信しています。
私たちが目指すのは、「個人の能力に応じて人生を選択できる社会」。そのために制度を一つずつ変えていく努力を重ねたいと思います。

