国産コロナワクチンの承認

最近はコロナよりもインフルエンザの方が猛威を振るっているような気がしますが、忘れていた頃にようやく日本の製薬企業が開発したコロナワクチンが承認になりました。

ひとつ目は第一三共が開発したオミクロン型の派生型「XBB.1.5」に対応するワクチンです。これはファイザー社やモデルナ社のワクチンと同様、メッセンジャーRNAワクチンですが、超低温での保管が不要とのことで、いくらか医療従事者には扱いやすいワクチンかもしれません。

メカニズム的にはメッセンジャーRNAをLNPという油の膜に封入したものを筋肉注射するというところは従来型と一緒です。ですがファイザーやモデルナのワクチンが、スパイク蛋白質をコードする全長のmRNAを用いているのに対し、第一三共のワクチンはスパイク蛋白質の受容体結合部位(RBD)のみをコードしたmRNAを用いているとのことで、RNA鎖が短い分安定性が高く、超低温での保管が不要なのかもしれません。余計なたんぱく質を作らないところも、個人的にはファイザーやモデルナのワクチンより良いのではと感じます。

もう一つ承認になったワクチンはMeiji Seikaファルマの製造するmRNAワクチンです。次世代型mRNAワクチンで、投与後に自己増幅するレプリコンワクチンです。これは元々米国のアークトゥルス・セラピューティクス社が開発した技術です(つまり、日本で開発されたものではなく、導入品)。

国はこの技術を使って原薬製造をする受託製造会社(アルカリス社)の設立に関与しており、同社は福島県の南相馬市に建設されています。地鎮祭には自民党の議員さんも何人かいらっしゃっていた写真を見た記憶があります。なぜ南相馬なのかというところも、業界ではいろいろな憶測を生んでいたのですが、とりあえず今回はその部分は割愛します。

このワクチンは原薬をアルカリス社、製剤をMeiji Seikaファルマ社で製造しているようです。日本のお役人はとにかく「オールジャパン」が好きで、日本で製造さえすれば日本発だと思っているようですが、それは全く違います。導入品では販売するたびに利益の何割かを米国に持っていかれます。しかもこのレプリコンワクチン、世界初の承認だそうで・・・。「面白そう、自分も打ちたい!」という方や、日本の臨床研究に是非協力したいという方は打っていただいていいと思いますが、研究者ならしばらく様子を見るアイテムかもしれませんね。

ちなみに私の周りの研究者の中には、コロナワクチン未接種者も結構います。逆に6回も打ったという人も。コンセプトも含めてよく理解できるからこそ怖いという人もいれば、大丈夫と確信を持っている人もいます。

一方で医者はというと、メカニズムより国が承認したから大丈夫なはずという考えの人が多いような気がします。中にはメカニズムも含めてものすごく勉強されている人もいますが、添付文書もまともに読んでいないようなお医者さんもいますし、こちらもいろいろですね。どちらかというと病院や職場の同調圧力に負けてしかたなく接種したという医者の友人が私の周りには多いです。

私のワクチンに対する考えですが、以前のブログにも書いた通り、否定派ではありません。これまでワクチンのおかげで、天然痘をはじめたくさんの病気を世界が克服できたたことは事実ですし、今でも小児の定期予防接種のおかげで、昔に比べ子供の死亡率や障害になる確率が劇的に減っていることも事実です。

ですがワクチンも含めて、薬の安全性を確認するのには10年くらいは普通にかかります。今回のコロナワクチンは、研究者の端くれとしてはコンセプト的には効果があると思いますし、陰謀論者が言うように人口削減目的の怪しげな成分を入れて開発・製造されているわけでは決してないと思います。ですが安全性は効果とは別物で、10年くらいは正直いろいろなことが起こりえます。

今年のノーベル生理学・医学賞は、新型コロナウイルスのmRNAワクチンにつながる技術を開発した、カタリン・カリコ教授とドリュー・ワイスマン教授に送られたのはまだ記憶に新しいと思います。カリコ教授でさえインタビューでは、「mRNAワクチンの安全性はあと10年ぐらいではっきりわかってくるでしょう」と、コメントしています。そういうものなのです。

ですからこのワクチンに不安を感じる人はワクチンを打つ必要はありませんし、強制することも避けるべきです。自分の判断に基づいて接種するか、しないか選択しましょう。私のブログもうのみにせずに、本当かどうか自分で調べて確かめましょう。周りに流されて何かあったら、たぶん一生後悔します。

最近、日本でもワクチン接種の重篤な副反応や死亡事例などが取り上げられる機会が増えているように思います。新しいタイプのワクチンで、接種している人数もこれまでになく多いのですから、残念な事例が多いのも当たり前と言えば当たり前のことです。こうした事例に国として一件、一件真摯に向き合うことが重要でしょう。

最後に現在、WHOがおそらく今回のパンデミックを踏まえて、次期パンデミックに備え国際保健規則を改定しようとしています。次期パンデミックに対する備えとして当然あるべき事項も含まれていますが、加盟国に強制されることになるとどうなの?という点もいくつか指摘されています。この国際保健規則については、参政党さんが翻訳してホームページに掲載されていますので、興味のある方はチェックしてみてください。

「パンデミック条約」草案/「国際保健規則(IHR)」修正案 仮訳 *追記あり

今回のパンデミックでは、国によってはワクチンが強制接種で、とてもつらい思いをされた方も沢山いたと思います。中国の度重なるロックダウンも動画などをみるにつけ、ちょっとやりすぎでは?と思うところがありました。パンデミックをコントロールすることは世界にとってメリットのある事である一方、嫌がる個人に無理やりワクチンを打つようなことはあってはならないと思っています。