2月14日、衆議院の第一議員会館で女性差別撤廃条約の実効性を高めるための選択議定書の批准を求める集会が開かれ、私も国際婦人年連絡会のメンバーとして参加しました。
この女性差別撤廃条約という条約に関しては、日本はすでに批准していますが、この条約には条約を名前倒れの条約にしないよう、批准した各国に対して様々な法整備を同時に要求しています。その一つが「選択議定書」（Optional Protocol to the Convention on the Elimination of All Forms of Discrimination against Women = OP CEDAW）です。
概要はこちらのHPと動画を参照してください。
日本政府は、この選択議定書に関し、何年も検討すると言いながら、ずっと結論を先延ばしにしてきました。実は国連女性差別撤廃委員会（CEDAW）は数年おきに、批准していない国の状況を審査しますが、今年がまた日本の審査年になっています。この活動に長らく携わってきた団体や野党は、「今年こそいい加減に批准して欲しい」と訴えています。ですが政府の反応は「日本の司法制度とあわない部分があるからまずは調査をしてごにょごにょ。。。」といった感じです。過去何度もCEDAWの審査があるたび、政府と折衝を重ねてきたわけですが、官僚の担当者は数年で入れ替わり、「過去何十年、何度も何度も同じ話を繰返している！！！」と団体側は怒り心頭です。
この日は関係団体のリレートークがありましたが、その中で個人的に衝撃的な内容があったのでご紹介します。それは婚外子にかかわる戸籍問題です。これはCEDAWの調査でも指摘されている項目の一つです。私が知る限り、以前の戸籍法では婚外子は単に「男」または「女」とだけ表記され、嫡出子の長女とか次男という表記と分けて表記され、差別されていました。また非嫡出子は戸籍表記だけでなく、財産分与も嫡出子の半分など差別されていました。平成25年に戸籍法が改正され、現在は戸籍においては嫡出子、非嫡出子も同じ表記になったと理解していました。ですがな、なんと、役所に出す出生届には嫡出かそうでないかを記入しなければならないというのです。
ちなみに下記は現在使用されている出生届のコピーです。
確かに嫡出子かそうでないか、チェックを入れるところがあります。何ナノこれ？ですよね。
「嫡出」とは婚姻関係がある夫婦から生まれることです。ですが出生届は子供の出生に関する届なので、そもそも親が結婚しているかどうかなんてどうでもいいことです。大事なのは、日本という国に生まれてきたすべての子供を歓迎するという姿勢です。出生届が必要なのは、子どもに必要な医療を届けるとか、時期が来たら子供に小学校に通いなさいと言う連絡をするためであって、差別の根拠になるものであってはならないと思います。
また、リレートークでは夫婦別姓問題も取り上げられました。世界で選択的夫婦別姓が認められていないのは日本のみで、CEDAWの審査でも毎回指摘されています。これまでは政権与党に対する統一教会の影響が大きく、選択的夫婦別姓の法案が通過しなかったのではと思います。ですがこれもそろそろ立法化して欲しいですね。世論調査では様々な調査があるものの、おおむね70％以上が、選択的夫婦別姓に賛成なのに、なぜ国民の意志が政治に反映されないのか謎です。最近では経団連が、選択的夫婦別姓を認めるべきと、経済界からの要望として加藤鮎子女性活躍担当大臣に提案しています。
「選択的夫婦別姓の導入を」経団連が政府に要望 公式会議で初めて
経団連のホームページにも下記のような記事が掲載されています。
大企業では旧姓の通称使用が認められているところも多いですが、この通称使用が運用上どれだけめんどうくさいか、言い出した人は全く分かっていないでしょう。国会議員だって結婚しても旧姓のまま活動している人が大半ということは、名前を変えるメリットは仕事をしている女性にはないと証明していると思うのですが。。。この問題も個人的には年内に決着をつけるべきだと思っています。
選択的夫婦別姓を嫌う人はよく、別姓にすると家族が壊れるとか、戸籍制度が崩壊するとか言うのですが、皆さんそんなに戸籍制度にノスタルジーを感じていらっしゃるのでしょうか？戸籍の起源はそもそも、家族の人数を把握することで、政府が適切な税額をはじき出すためのものです。皆さんそんなに納税したいのでしょうか？私は戸籍になんの思い入れもありません。
逆に戸籍には、やれ、いつ離婚したとか（大きなお世話！）、婚外子がいるとか、お前は養子だとか、元々どこの出身だとか、差別を助長するようなことがたくさん書いてあるのに、このご時世でまだ司法書士などに依頼すれば他人でも取得できる書類です。
このブログを読んでいる皆さんは、戸籍は必要だと思いますか？マイナンバーがあるならなくていいのでは？と個人的には思っています。
