氷河期世代と政治

まずはお知らせから。

私がお手伝いをしているクオータ制を推進する会(Qの会)で2月9日19時から勉強会を予定しております。登壇者は能條桃子さんで、「政治分野のジェンダーギャップ、わたしたちの世代で解消を」という内容です。こちらはオンラインセミナーで無料。Peatixから申し込みが可能です。後半にチラシを掲載しています。

https://q-20240209.peatix.com/

能條桃子さんについては、東洋経済に掲載された記事がわかりやすいと思います。

若者の投票率低迷に風穴を開ける能條桃子の正体

若手アクティビストですね。実は今の日本、20代は政治に積極的な方が多く、女性だけではなく男性も政治に関心が高い人が多いのです。これはすごくいいことですね。

一方で、政治に関心が低い世代はズバリ氷河期世代です。私は国際婦人年連絡会という女性活躍を推進する団体の仕事もしており、この団体にはたくさんのNPOが加盟していますが、活動の中心は60代、70代、80代以上(!!)という状況です。50代後半の私などは、若手と言われる始末。ちなみに国際婦人年連絡会は政府に要望書を送ることができる数少ない団体の一つですから、こうした活動を是非次の世代につなげたいと思っています。ですが私より年齢が若い氷河期世代は正直、政治活動にあまり積極的ではないのです。

その理由はというと、単純に生活が大変で余裕がなかった世代だからと思います。それは現在進行形でもあります。私も30代半ばくらいまでは、20代で勤めていた会社の組合活動を除けば、自分の生活で手一杯でなかなか社会的な活動に参加する余裕はありませんでした。

また氷河期世代は独身率が高いのも特徴です。子供がいれば保育所問題、PTA活動を通じて学校給食の問題や子供の医療費の無償化への対応など、など子供が育つ地域の活動に多少なりともかかわらざるを得なくなるものですが、子供がいなければ地域とのかかわりは住民税を払うだけという状態になります。

そしてこれからは氷河期世代の親が、介護が必要な年齢を迎えます。長年非正規労働で働き、蓄えもあまりなく、助けてくれる親族もなく、親の介護をしなくてはいけなくなったら。。。政府はこれまで高齢者介護を社会で行うとして介護保険の充実を進めてきました。ですが現政権では介護を家庭で何とかしろと、個人の負担とするように動き出しています。

現在の日本では大手企業でさえ介護休暇などは簡単に取れませんし、育児休業と違い介護休暇の終わりは見えません。非正規労働で働く人が、親の介護が必要になって仕事を辞めてしまい、その結果日々の生活にも困るという状況が多数出てくるのは必須です。親の世代の年金も、決して親子が暮らせるほど多くはないのが普通です。比較的低額で入所できる特養は順番待ちで、親の状態によってはいつ入居できるかわかりません。かといって高額な老人ホームに入居するための資金もなく、家庭で面倒を見ざるを得ない。。。そのような人たちを、生活保護で捕獲できれば良いのですが、自治体は生活保護をできるだけ減らすよう動いています。気が弱い人や、生活保護の仕組みを知らない人は、役所の「もう少し頑張ってみてください」という言葉に、申請書さえもらえず帰されたりします。

私はホームレスの支援活動に少しかかわっていたことがあるのですが、ホームレスの人はたいてい、「住所がないから生活保護の申請はできません」と、役所に申請を断られた経験を持っています。ですがこれは役所の大嘘で、住所がなくても申請はできますし、相手が反社とか外国人でも、よく法律を熟知している人が相手だと、ちゃんと生活保護の申請を受理します。生活保護の申請書はリクエストがあったら渡さなくてはいけませんし、申請を断るのは違法です。知らない人が損をするのが日本なのです。

なにが言いたいかというと、政治にもっと参加しなくてはいけない人は、今困っている当事者なのです。そういう意味では日本では氷河期世代が一番政治に参加しなくてはいけないのに、あまりに余裕がなさ過ぎて政治参加できていない状況にあるわけです。その時代に生まれたことは不運だったとしか言いようがないですが、もっと知恵をつけ、味方を増やして反撃することも必要だと思います。これは女性にも言えることです。だからこそ今、女性も政治に参加しなくてはいけないのです。

これからもっと政治を盛り上げていけたらと思いますし、冒頭で紹介した若手には今後もどんどん活躍して欲しいと願ってやみません。