第三回座談会を終えて

前回に続く座談会第三弾です。テーマは「普通の人が政治家になるには?」です。

ご参加いただいたのは以下の方です。

  • うまかさん

30代後半女性、独身貴族満喫中、金融関係会社員、福岡県在住

  • S.Nakamuraさん

29歳男性、ゆとり世代、化学メーカー開発職。理系のプロフェッショナルをもっと国会に送り込みたい、国民民主党党員、岡山県在住。

  • サザエさん

50歳女性、ファミリー企業で不動産賃貸業を運営する傍ら、公益財団法人の奨学財団を運営し、奨学金の給付をしている。お金を稼ぐ仕事と分配する仕事の両方に従事。

  • Eiichi Imamuraさん

ウズベキスタン在住、日本の大学の事務所に勤務する男性。大学では歴史を専攻したが、PhDは取れず、その後専門を生かせる仕事にはなかなか巡り合えなかったものの、現在自分の専門が少し生かせる仕事についている。

今回1時間40分を超える座談会になりました。普通の人の代表である「きどかおり」が、今回立候補して得た選挙に関する気付きや、その他参加者皆さんの鋭いご指摘、ご意見を頂戴しています。以下は座談会の内容を踏まえてのまとめになります。

日本で普通の人が政治家になるためには、どれだけ人を集められるかが重要です。選挙は何をするにもお金がかかります。これまでの方法であれば、選挙のビラを作ってポスティングしたり、掲示板にポスターを張ったり、あるいは選挙カーを仕立てて、うぐいす嬢を雇って選挙期間中、候補者の名前を連呼する。またあるいは選挙ハガキ一枚一枚に宛名を書き、郵送します。選挙ビラを印刷したら、そのビラ一枚一枚に証紙を貼らないと、街頭演説でビラは配布できません。どの作業にも、たくさんの人出が必要になります。この作業の中には、ボランティアを募ってできることもありますが、政治家が選挙のために人をお金で雇って作業してもらわなければいかないこともたくさんあります。

ただ最近は、インターネットを上手に使って人を集めるということができるようになりました。YouTuberなどはその例です。また、芸能人なども元々知名度があります。選挙でそうした知名度のある人たちが、立候補者となることが多いのは皆さんご存じの通りです。ただし人の注目を集められる人が、必ずしも政治家としてふさわしい人というわけでも、注目を集められないから、政治家としてふさわしくないということもありません。

政治家となってほしい人に立候補してもらうにはどうするか。あるいは政治家としてふさわしい人が、所持金にかかわらず立候補できるシステムが日本には必要です。

ちなみに参院選で立候補する場合、供託金が比例区で600万円、選挙区で300万円必要です。選挙供託金とは、選挙に際して候補者が選挙管理委員会に預けるお金です。所属する政党によっても方針が異なりますが、党が負担するところもあれば、そうでないところもあります。無所属であれば、当然このお金は自前で用意しなくてはいけません。この供託金の他、選挙活動に必要なお金を工面しなくてはいけません。

日本の供託金の金額は、世界で一番高いとされています。

供託金 ウイキペディア

供託金を高く設定するのは、泡沫候補者がたくさん立候補しないためと言われています。ですが立候補は自由であり、また候補者もすべての候補者にYesまたはNoという言う権利があります。ですから供託金の金額を引き上げて立候補の意思を阻害することは本来あるべき姿とは言えないと考えます。ちなみに供託金は落選の場合や、一定数以上の票が取れない場合は没収されます。

現在参議院議員選挙の被選挙権は30歳となっていますが、この年齢を下げても良いのでは?という意見があります。ですが現在の供託金の金額を考えると、社会に出て間もなくの若者に供託金の負担ができるか、疑問と言わざるを得ません。

座談会の中では、例えば、選挙の立候補者が皆等しく最大100万円までしか選挙活動費を使ってはいけないというように、選挙活動費の上限を規制して、選挙活動に財力が反映できないようにしては?という意見もありました。私はこの意見も今後検討すべきと思いますし、最近たまたま目にした「国会議員をくじ引きで選ぶ」というアイディアもかなり良いと考えています。その方がまんべんなく、いろいろな業種の国民の代表を国会に送り込むことができるのではと考えます。

一方、政治の判断には時として専門性の高い内容があることも事実です。 S.Nakamuraさんは台湾に留学して学位を取られた方ですが、日本と台湾の政治の違いについて、興味深いお話をされています。台湾の閣僚は基本的に皆高学歴、各分野の専門家集団であり、だからこそ官僚が持ち込んだデータに基づいて、政治に必要な判断が下せると。日本の場合、例えば専門知識のあるものからすると、時として首をかしげたくなるような判断があり、もっと専門知識のある政治家が必要と考えているとおっしゃっています。

日本で政治が盛り上がらない理由は何か。日本は平和だからか? 海外ではすでに日本製品を見ることがなくなってきています。ウズベキスタンでも家電は韓国製品ばかりになっているそうです。民間市場に日本企業は全く進出できていないと。日本はODA関係のみがかろうじて途上国に認められている状態です。日本はお金を配ることでしか国際世界で存在を認められないのです。日本の外交は、昭和時代の企業の営業のように、とにかく会社の金でどれだけたくさん飲み食いして接待の相手にエエカッコするかが目的になってしまい(外交の場合は会社の金ではなく税金)、本来の目的を忘れている感じがします。

韓国の追い上げに関しては、韓国の若い世代の英語力が日本人をはるかに凌駕しているという事実があります。(2018年のTOEICテストで、韓国は平均点が日本より150点以上高い)日本の学生はとにかく内向きと言われ、商社に入っても海外勤務はイヤ、大学生も留学はイヤというのが多いとされています。ですがそれは、学生を採用する側の企業の問題とも言えます。ユニークな人材が欲しいと言いながら、結局採用するのは平均的な人材ばかり。減点法であり、何ができるかではなく、平均から外れたことをする人間の評価は容赦なく低い。昨今のリクルートスーツが黒ばかりで同じなのも、リスクを恐れた学生の自衛策なのではないかという話になりました。

党員になるには?お金を払えばなれるが、Imamuraさんは海外在住のため、規約で党員になれないと。在外投票できるのだから、海外在住者にも党員資格を与えるべきと。また党員となるメリットの一つとして、党員の意見を政策に反映できるようなシステムを検討すべきと。あるいは党員が立候補したり、党員がふさわしいと思う人物を候補者にしたりできるようなシステムを党員のメリットとして検討してほしいと。またNHK党が実施したN-1グランプリのような公募&候補者の公開選抜も是非各政党で実施してはと考えています。

最後に、普通の人がどうしたら政治家になれるかの前に、若い世代が、国会に行ったら何か変わるかもという希望を持てるような世の中にすることが重要だと、サザエさんに結んでいただきました。

お忙しい中ご参加していただいた皆様、本当にありがとうございました。