ハマスのロケット弾がイスラエルに向けて発射されたのが10月7日、以降ハマスをテロ組織と名指しし、2週間以上たった今、イスラエルが報復のため地上戦を展開するかというタイミングにあります。
ハマスの今回の攻撃はもちろん許されるものではありません。テロと名指しされることも仕方がないことでしょう。ですがハマスに対抗して一般市民を巻き込んで報復しようとしているイスラエルもハマスとやっていることが同じです。絶対に許されることではないと思います。イスラエルはハマスを「殲滅」するとしていますが、これは不可能です。今回の報復で親や兄弟をなくした子供が新たなテロリストとなるかもしれません。報復の繰り返しでは憎しみの連鎖は止まりません。
イスラエルとパレスチナの問題は今回の事件をきっかけに一気に注目され、皆さんもたくさんの情報を得られていると思います。1000年以上も前からの歴史的な事情もありますが、紛争の直接の原因は20世紀初頭に英国やフランスが当時この地を支配していたオスマントルコを倒すため、ユダヤ人の潤沢な資金を利用する一方、アラブ人たちの兵力を利用したことに始まります。
オスマントルコ亡き後、英国、フランス、イタリアなどが分割統治することになり、それぞれが支配する国で石油が発掘されたことで、新たに石油利権という問題も発生します。欧米列強の支配していた国はそれぞれ独立しましたが、現在も残る国境線はこの当時の欧米列強が引いたものです。そして第二次世界大戦後、パレスチナの土地にイスラエが建国され、パレスチナ人が現在の自治区に追いやられたことから、パレスチナを支持するアラブ諸国とイスラエルという構図が出来上がりました。
イスラエルに関しては、10月22日に日本を除くG6の国が共同で声明を発表しています。
G6の国々は、10月7日の爆撃の直後にもハマスをテロ組織とし、イスラエルを支持すると表明していました。ですがイスラエルの報復行為(defendー自衛としているものの)を擁護するのはいただけないと個人的には思っていました。日本がこの共同声明に入っていないのは、中立的な立場で戦争阻止に向けて取り組むため、あえて距離を置いたのかと思っていました。が、下記のニュースによると「今回の紛争による日本人の犠牲者がいないから」と、松野官房長官が言ったとか。本当にがっかりです。
【速報】G7岸田首相抜き6首脳が共同声明でイスラエルの自衛権支持 松野長官「様々な枠組みの発信」
G7の国々でこの紛争の直接の原因にかかわっていないのは、日本くらいです。日本は宗教的にも中立で、アラブの国々とも友好的な関係を持っていますし、イスラエルとも友好国です。日本こそ、直ぐに現地に飛んで行って仲裁するのが筋ではないでしょうか?日本人の犠牲者はいないかもしれませんが、中東の石油には大きく依存しています。ここで戦争が長引けば経済的にも大ダメージを受けるのは必須です。他人事のような態度を決め込む理由がよくわかりません。
日本の報道では欧米がイスラエル擁護に動いているとするものが多いですが、海外に住んでいる友人たちに聞くと、戦争反対派も多く、たくさんのデモが各国で何万人という規模で起こっています。
私がイスラエルを訪問した時、パレスチナを案内してくれたタクシーの運転手さんは最初、ヨルダンのペトラ遺跡ツアーの集合場所にホテルから送ってもらうために予約しました。集合時間は朝の3時、かつユダヤの祝日前後という日程で、ユダヤ系の運転手さんには皆断られたのですが、快く引き受けてくれました。しかもツアーからの帰り道も、夜中の1時過ぎで、正確な時間がわからないのにも関わらず、集合場所に迎えに来てくれました。それで翌々日、友人と話し合って、死海のリゾートとパレスチナに連れて行ってもらうことにしたのです。日々健康に気を使い、夜7時以降は食事をしない、奥さんの機嫌がいいことが家庭円満の秘訣だからと奥さんをとても大事にし、毎日奥さん子供のために朝早い仕事も夜遅い仕事も地道にこなす。おそらくパレスチナ人だけではなく、イスラエルの人たちも、大半はそういう人たちだと思います。
戦争になってしまったら、イスラエルに住んでいる人は仕事ができなくなるかもしれませんし、日々の食料にも事欠くかもしれません。こどもの教育や住むところ、それまで築いた人間関係や仕事、財産などあっという間になくなってしまうこともあるでしょう。これを多くの人が望むわけはないと思います。報復したところで問題が解決しないのも、大半の人はわかっているでしょう。この報復行為でイスラエルだけではなく、近隣のアラブ諸国も影響を受けますし、日本のようにこれらの国に依存している国も影響があります。儲かるのは武器屋だけです。
ちなみに日本では今後5年で43兆円まで防衛費を増やすことが決まっていますが、その防衛費をねん出するために、「わが国の防衛力の抜本的な強化等のために必要な財源の確保に関する特別措置法(特措法)」が6月に成立したのをご存じでしょうか?
「わが国の防衛力の抜本的な強化等のために必要な財源の確保に関する特別措置法(特措法)」
この特措法は、なんと国立病院の積立金すらも防衛費に転用できるようにしてしまう法律です。ただでさえエッセンシャルワーカーの待遇が悪すぎて、年々人手不足が深刻化している状況で、待遇を上げるための財源を防衛費に転用しようという法律です。怖いですね。 なんとしてでも防衛費を確保しようと動いているということは、やはり今後戦争が想定されているということなのかもしれません。もし中東が戦争ということになれば、米国は中東戦争で忙しくなりますし、その間に台湾有事というのもあり得るのかもしれません。特に2025年については、巷でもいろいろ言われていますね。その時は考えたくはないですが、日米同盟を理由に米国のポチとして日本が代わりにC国と戦争しなさいということになるやもしれません。ですからこのイスラエルの戦争は絶対に止めなくてはいけません。