第四回座談会を終えて

前回に続く座談会第四弾です。テーマは「高度人材の活用について」です。

日本の高度人材の活用については、教育問題、社会保障問題とも大きくかかわりがあります。日本では企業が社会保障の重要な役割を担っているため、無職または非正規社員=貧困となりやすいのです。終身雇用は、現在日本のセーフティネットとしても重要です。

一方で高度人材の活用という点において、終身雇用を前提としているがゆえに、日本企業は高度な人材もそうでない人材も同じような条件で採用することになりがちです。それは高度人材を特別な待遇で雇ってしまうと、その待遇を定年まで続けなくてはならないという義務が生ずるからです。もしその人材が期待した成果を上げられなかったら、企業にとっては損失です。それなら最初からそのような人材は採用せず、新卒を採用して企業で教育して育てるという方法を日本企業は好んできました。したがって日本企業は、できるだけ安く採用し、様子を見ながら給与を上げるという方法を好みます。退職金という定年後のまとまったお金を提供する代わりに、定年までの給与は安く抑えがちです。

従業員にとっては、一番おいしいところが入社後何十年もたった後になりますので、仕事がつまらなくても我慢して仕事を続けるということになりがちです。

きどかおりは基本的に、社会保障は国が提供すべきもので、企業は企業活動に注力し、そこで働く人は自分の能力と引き換えにそれに会った対価を受けるだけというのが良いと思っています。もちろん会社に愛着がある人はずっと同じ会社で働くのもよし、同じ仕事で別の会社に移動し続けるのも、あるいは途中で一旦休み、リカレント教育で違う技術を身につけ、別の仕事を始めるのも良いと思います。

技術のライフサイクルの早くなった今、同じ仕事をずっと続けられる人は、かなりラッキーな人ということになると感じています。一旦会社を辞め、国から生活保護あるいはベーシックインカムをもらいながら次の仕事の準備をすることが、普通にできる時代になる方が良いと考えています。また、高度人材からサポート人材へ、サポート人材から高度人材へと行ったり来たりできることも重要なのではないかと思っています。

今は昔と違い、寿命も延びていますし、働く期間も長くなっています。一生のうちいろいろな仕事を経験できる時代になっていると感じています。定年もこれまでは60歳、65歳でしたが、今後はできる方は70歳、80歳まで仕事をされるのが良いと思っています。パフォーマンスが落ちないのであれば、役職定年などという制度はおかしいですし、個人の能力をうまく評価するシステムというのも必要と考えています。

今回の座談会で驚いたのは、fumiriさんが共有してくださった、経済産業省の「未来人材ビジョン」の資料に書かれている内容が、きどかおりの目指すところとかなり重なっている点でした。「経済産業省=頭の固い人たち」という偏見を持っていたことを深く反省しております。

ご参加いただいたのは以下の方です。

  • 早崎沙彩さん 女性、日本で修士課程修了後、博士課程から米国留学。ポスドクのため日本に帰国したとろ、コロナ禍になった。現在は電子カルテの会社で仕事をしている。
  • Fumiriさん 男性、日本の大学で博士課程まで進学し、脳科学の研究をしていた。その後日本国内の証券会社に移り、現在は米国のヘッジファンド勤務。子供3人。仕事はデイトレードではなく、ファンドの長期保有を前提とした日本企業の株のアッセットマネージメント。
  • YAMAMOTOさん  男性、製薬企業定年後、バイオベンチャーのCEOをやっている。製薬企業にて20年間研究所でメディシナルケミストをやった後、その後の20年はBD(事業開発)の仕事。現在の会社では、ヒト臍帯血細胞を使った再生医療製品保有。製品は現在フェーズ III(開発段階後期)。

座談会の内容:

座談会はYAMAMOTOさんの、日本の頭脳流出が心配という話からスタート。研究開発のおかれている状況を改善しない限り、頭脳流出が止まらないと。具体的には研究費が大学その他、日本の研究機関にないという状況が問題であると。YAMAMOTOさんの知人で、東大の准教授のポジションを蹴って、米国の研究機関に行った人もいるとのこと。

研究費のない状況はどうすれば打開できるかについては、国だけでなく、民間もファンドや基金を作って日本の将来のために投資する仕組みつくりをすることが重要と。こうした動きはあるのかもしれないが、まだ目立っていないと考えている。

きどかおりは日本のベンチャーキャピタルとは仕事で付き合いがあるが、日本企業に投資せずに米国企業に投資するパターンが多いように感じている。YAMAMOTOさんも仕事を通して、そのような状況を実感している。YAMAMOTOさんの会社はそのため、日本のベンチャーキャピタルではなく、韓国の会社から資金を調達し、韓国の会社の子会社として活動している。それは会社の製品を少しでも早く患者に届けたいという思いからであると。

現在、岸田内閣でベンチャー担当大臣を設置し、政府がベンチャーを管理する仕組みを作ろうとしているが、それについてはどう思うかと質問したところ、YAMAMOTOさんもAMED(国立研究開発法人日本医療研究開発機構、アカデミアを中心に研究開発資金を提供している機関)の研究資金を得て研究活動をしたことがあるが、資金の使い方についてあまりにも細かく、その後もお付き合いしたいとは思えなかったと。きどかおりはベンチャーを国がコントロールしようとすること自体無理があると考えている。AMEDのような国の機関のちまちました管理では、膨大な事務職員が必要なだけで、肝心の投資が必要なプロジェクトをいかに選別するかについて十分なリソースがかけられていないのではと感じている。

YAMAMOTOさんの企業で高度人材を必要としているが、定年後一線を退いた方を採用して仕事を回している。現役バリバリの人を雇う余裕がない。きどかおりの個人の見解では、日本のベンチャーは、定年後、年金をもらいながらパートタイム的に高度人材として働く人材を、安く活用している割合が高いと感じる。先に出たAMEDも、専門性のある高度人材として働いているのは、製薬企業を早期退職、あるいは定年退職し、定年まで、あるいは定年後の副業として、それまでの経験を活かしつつ、比較的安い給与で働く人材がほとんどであるという認識がある。まだ十分に活躍できる人材を活用するという点では良い制度であるが、一方でこのため若い人材の登用が進まないのも事実であると感じる。

Fumiriさんは、元々日本で研究者を目指していたが、日本のアカデミアでポジションを獲得して研究職として活躍することが難しいと感じ、給与面、その他待遇について考え、自分の能力を認めて迎えてくれる外資系証券会社に就職した。そのような選択をする学生は実際多いと感じる。日本の場合は、修士課程、あるいは博士課程をでた高度人材の行き先が限られてしまっており、特に大学の人事制度がもの全世代的で息苦しいものであると感じている。

最近経済産業省(METI)が出した、「未来人材ビジョン」のスライドをみると、日本はOECD水準で学力は高いものの、部長クラスの給与は現在タイにも抜かれており、雇用については不満を抱えている。また海外の高度人材も日本では働きたいと思っていないというデータがある。

日本の高度人材は例え語学の点で劣っているとしても、技術面では十分世界と戦えるはずであるのに、国内にその能力を活用する機会がないことが問題と感じている。日本の企業は相変わらず、製薬企業など一部の業種を除き、修士課程卒の人材を博士課程卒の人材より使いやすい人材と認識しており、会社ごとのOJTを通して終身雇用前提で教育することを好む傾向にあると感じる。博士の場合はよほどその専門性が企業にあう場合以外は、積極的に採用とならないと感じる。

海外の場合、研究者としては修士課程卒業者と博士保持者の間の明らかな階層があり、博士取得者は入社時に直ぐに管理職待遇となるのに対し、日本ではそのような格差は存在しない。きどかおりが考えるに、日本の場合は終身雇用が前提のため、そのような特別待遇で採用し、実際に仕事のパフォーマンスが悪かった場合でも雇用を維持する必要がある。一方海外ではパフォーマンスを理由に解雇することは難しくない。そのため、高度人材を高給で、あるいは特別な待遇で採用することに日本企業では躊躇があると考える。

早崎さんは大学院に進学する際は多くの人に辞めるように言われたが、博士課程を出た人材は少しずつ需要が増えていると個人的に感じるという。また終身雇用も早崎さんの周りではなくなりつつあり、博士課程に進学するメリットが逆に増えつつあると感じている。だが現実は博士課程に進学する学生は減少している。

早崎さんは元々有機化学専攻であったが、米国留学時代に細胞の老化の研究をはじめ、工学部であったため研究の応用にも興味があった。有機化学は現在の仕事に直接かかわってはいないが、理工系の仕事を維持したいという気持ちと、周りのアドバイスもあり現在の電子カルテの会社に入社した。

きどかおりは日本の高学歴人材はこだわりが強い人が多い印象がある。早崎さんの周りではどうかと尋ねたところ、早崎さんの出身大学では社会とつながりを作るためのプログラムが充実しており、アカデミック以外のポジションについての就職も検討できるよう配慮があるとのこと。きどかおりの知人である大学教授が、毎年のように公募をかけるが田舎ゆえに応募がないことを伝えると、早崎さん本人は田舎には行きたくないが、アカデミックな仕事をしたいと思っている人は、田舎だからと言って躊躇はしないと思うという回答であった。ただ任期付きや転勤が多くなるポジションについては避けられる傾向にあると考えると。

高度人材の任期付きポジションについては、早崎さん自身は任期付きポジションでの戦いから抜け出したと考えているが、まだまだ同期で任期付きの仕事で頑張っている同期生がたくさんおり、常に一人で業績を積み重ねるという挑戦を続けている人は尊敬していると。早崎さんは(おそらく30代前半)なので、同期生もまだ楽しく研究を続けている人が多いと思うが、周りが正規のポジションにどんどんつき始めると焦ってくると思うと。

任期付きのポジションを渡り歩くのは、日本に高度人材の受け入れ先が少ないからか、あるいは高度人材は自ら進んでそうしているのか?きどかおりは海外滞在中に主に優秀な中国人留学生が、奨学金をもらいながらずっと学生をやり続けるのを多く見たが、非正規のポジションを続けすぎると逆に正規のポジションにつきにくくなるという現状もあると考えている。

次いでfumiriさんが、高度人材の転職事情について経済産業省の「日本の未来人材」を使用しながら説明。日本では転職してキャリアアップするという概念が低い。一方中国では、転職が賃金増加につながるという期待感が強く、高度人材は引く手あまたであるという世相を反映している結果となっている。これを見ると日本の高度人材も、能力があれば日本にとどまらず、海外で働きたいと思うのではないかと。

また日本の企業の特徴として、同じ会社に長くいる従業員の方が、高い給与であるという特徴があり、外から入った従業員の給与は安く抑えられる傾向がある。これは外資と逆である。日本の場合はそもそも終身雇用で定年まで勤めあげて収支があるようになっているため、転職すると退職金等の目減りが大きく不利である。新入社員はある意味、会社と定年まで勤めあげることを前提に入社するので、たとえ仕事に不満があっても勤めあげることになり、不満もたまりやすい。これが実はアカデミックのポジションにも言える。むしろ雇用制度の改革の外にあったアカデミックの方が状況は酷いかもしれないと。

この状況を改善するためには、雇用制度改革も必要である一方、民間企業がもっと積極的に投資をして、人材の育成にかかわるべきである。例えば日本電産が京都に作った先端科学大学(https://www.kuas.ac.jp/)のようなものがどんどん作られるべきと考える。ただし、そこで育成された人材が元の大企業に戻るのではあまり意味がないと感じる。

ベンチャーはどうかというと、日本のベンチャーは常にお金がなく、外資の投資ファンドも一時のフィーを求めては来るが、真剣にアッセットマネージメントの一環としてベンチャーを育成しようとは考えていない。例えば、住友トラストホールディングスが、米国の投資ファンドのアポロ・グローバル・マネジメントに2000億円投資するというニュースがあったが、それはプライベートエクイティ(PE=未公開株)ファンドなどに投資できる仕組みをつくることが目的であり、日本のベンチャーを育成するような性質のものではない。これでは国内の金融人材も育たなければ、日本の高度人材育成のためのお金の循環も起こらないと考える。(つまり儲かるのはアメリカの投資会社だけ)

Fumiriさんはしかし、高度人材を活用する人事制度が存在しないということは、他の途上国が抱えているもっと深刻なマクロな問題に比べれば、日本の雇用問題やメンタリティの問題の深刻度は低いのではないかと言う。

前回の座談会では、参加した学生さんが、日本でもITベンチャーにおいて、初任給で700万円とか、1000万円を出す企業も出てきているが自分には関係ない。大企業ではこのようなシステムの導入は難しい。なぜかというと企業の中にいる人たちが不満を覚えるからだとコメントしていた。社内の問題をまず解決しなくてはいけないと。

確かに長年終身雇用の制度中で我慢し、これから退職金も含めておいしいところを刈り取ろうという人たちにとって、いきなり能力主義に変更しますというのは納得できないことがあると思う。一方でこの制度を続けていくかぎりイノベーションは生まれないと感じる。

Fumiriさんはいっそのこと終身雇用を維持する産業や業種にかかわる企業と、そうでないこれからの産業を作る企業に分けてしまうのが良いのではと考えている。それは民間企業に限らず、大学でもいえると思う。若手を中心として、仕組みも変えたスタートアップを次々と作り出していくようなイメージだと。

きどかおりは一方で、会社の中でイノベーションを生みだす高度人材と、その人材をサポートする人材に分けてはと考えている。サポート人材については、給与は低いが終身雇用、一方の高度人材は高いパフォーマンスを維持できなければ解雇されるが。高い給与で採用されるというイメージ。Fumiriさんによれば、このモデルは現在、日立やNTTにおいて、主にAI人材について実験中であるとのこと。年収2000万、3000万円で採用する代わりに短期雇用というもの。またこうした高度人材は、企業で仕事をするだけなく、企業とアカデミアを行ったり来たりできるようにし、新卒一括採用ではない、特別な人材用のキャリアパスが用意できることが重要と考えると。

きどかおりは日本の企業で、皆が同じペースで、管理職になることを前提に仕事をしなくてはならないという企業文化があるのがよくないと個人的に思っている。個人の能力やライフスタイルにより、給与は高くないが、責任のないサポート的業務に就く時期や、猛烈に働く時期などを個人が自由に選べるようになるのが良いと思っている。そしてサポート人材と高度人材を行ったり来たりできるような仕組みにできれば尚よいと考えている。また高度人材にならないという選択肢があることも必要であると思っている。そのような人は仕事よりも個人のライフスタイルを重視するので良いのでは。誰もが大学に行くというのはよくないと。

日本の高専は現在東南アジアの留学生が増えているが、きどかおりは高専のような教育機関をもっと重要視すべきと考えている。Fumiriさんは経済産業省のスライドの例と、高専卒業生が非常に能力も高く目的意識を早くから持っていることに注目しており、もっと日本で活用されるべきと考えている。きどかおりは、高専がアジアの学生に高い評価を受けていることはうれしいことである反面、留学生のための学校になるのはもったいないと感じている。

Fumiriさんは、外国人留学生の受け入れに関し反対ではないが、外国人というだけで留学生に授業料の免除や、生活費の支給、本国から日本への交通費の支給などを行うのはどうかと考えている。日本人学生が困窮している状況で、日本に残らない外国人留学生にそのような好待遇なのは疑問に感じている。

きどかおりが知るとことでは、日本以外の国でも、海外留学生の受け入れはもちろん行っているが、すべての留学生にこのような好待遇を行っているわけではない。優秀な一部の学生に限定してもよいと考えている。

Fumiri さんは、日本は外国に対し非常に強いコンプレックスを持っており、語学ができる、できないだけで個人の能力を過信する悪い癖があると思うと。例えばアメリカ企業というだけで、そのサービスが素晴らしい、技術が素晴らしいと過信して、お金を払いすぎるようなケースが多々ある。非常に危険だと感じている。このようなメンタリティは変えるべきと。これは最初の、日本のベンチャーキャピタルが日本企業に投資せず、米国企業に投資するというのも、このメンタリティによるものと思う。日本企業と米国企業が同じ技術を持っていても、日本企業はよく見えないので米国企業に投資する。だが実はその米国企業は日本企業から技術を導入していたというのはよく聞く話である。

日本の場合は相手の企業が米国の企業だからオーバーペイ(実際の価値より高く支払う)ことをしても正当化される企業文化がある。日本国家の価値を棄損していると感じる。それは企業買収に限らず、人材に関しても同様で、米国をはじめとした海外から採用した人材に関しては日本人材の何倍もの給与を払いながら、そのリターンを得られずその人材は何もせずに本国に帰るという状態が長らく続いてきた。日本人材はいいものを持っているのにアピール力が足りないとも思う。それは教育の問題もあるかもしれない。それは博士でもその研究成果をうまくアピールする力が欠けているのかもしれない。きどかおりは人口が多い国出身者は、小さいころから大勢の中でどう目立つか教育を受けていることが多いので、自己アピール力に長けていると感じている。

Fumiriさんは一方で、西洋式の自己アピール力強化が日本で必要かどうかについては疑問に思っている。高度人材の活用についても、日本の他者と調和する能力を生かしつつ、西洋式でも従来の日本のシステムとも違う、第三のシステムを模索すべきではと考えている。完全な競争ではなく、論文のインパクトファクターによらない基礎研究の質の評価や、長いスパンで価値を生み出している人の評価など、日本的なやり方を模索すべきではと。

きどかおりは終身雇用の維持については、高度人材は基本的に終身雇用から外し、パフォーマンスで評価される代わりに解雇あり、その他サポート人材は終身雇用を目指すべきと考えている。しかしながら近年技術のライフサイクルが短くなっていることから、個人が同じ技術で一生同じ仕事に就くことが難しくなっていると感じており、理想的には一度会社の外に出して再教育をし、別の仕事に従事するというのが理想と考えている。ただしこの場合、年齢や個人の能力によってどうしても新しい仕事になじめないような人もいると思うので、この点については課題が残る。

高度人材の流出を防ぐためには、給与を高く設定するのと、高度人材のモチベーションを保つための仕事を提供することが重要と考える。今は円安が進んでいるので、それも厳しい状況になっていると感じる。これ以上円安が進んだ場合、企業が従来の人事制度に固執するのか、新しい試みをする企業が増えるのか試される時期が来るかもしれない。

きどかおりは終身雇用制度を直ぐに変えることは、企業や官庁にとって簡単ではないと考えている。Fumiriさんは、企業においては投資家がこのような構造改革について助言をすることは考えにくく、日本的にお上からのトップダウンで構造改革を指示するという方法以外ないのではないかと感じている。そう考えると、すでにある企業ではなく、新しい雇用制度の仕組みを持ったスタートアップ企業から変えていく方が現実的であると考える。

最後に早崎さんは理系人材のおかれている実情をよく理解できる人が、もっと政治家に増えて欲しいと考えている。また自分が海外に流出する人材になろうとは今のところ思っておらず、自分のできることに力を尽くすことで社会に還元できればと思っていると。またこれから博士課程に進学を考えている学生さんにも、できる限りのアドバイスをしたいと思っている。早崎さんは博士課程に進学してよかったと思っているし、これから進学、研究したいという人に、もできるところまで挑戦してもらいたいと考えている。今は自分の周りのことで手一杯なところもあるが、世の中の人がもっと社会全体について目を向けられるようになれば良いと考えていると。

最後に高度人材の活用という点では、日本の終身雇用がマイナスに作用しており、改善の必要があると考えられるものの、現実問題大企業や官庁等で変えるのは難しいと考える。新しい雇用形態を持ち、イノベーションを生み出せるような構造のスタートアップを増やしていくのが現実的かもしれない。ただ急激な円安がこれ以上進むと、構造改革の前に人材流出が進むのではないかときどかおりは懸念している。

現在製薬業界では、米国のボストンの周りに研究所設立ラッシュが続いている。これは高度人材のエコシステムがボストンに存在しているためであるが、似たような仕組みを日本でまずはバーチャルに構築しては良いのではとfumiriさん。もっと会社の外の人とのつながりを深め、情報の共有と多様な価値観を知ることが重要ではないかと。

参加していただきました3名の方、本当にありがとうございました!